CRIMECA 通信 Vol. 005
当著作は「クリメカ」の許可により記載しています。「クリメカ」に無断で複写、複製、転載、データファイル化することを禁じます。

[技あり!バッテリーバンド]
★中空パイプの活用
バッテリーを固定するゴムバンドはたるんでいては走行中にバッテリーが暴れてなんの役にも立ちません。 正規のものを引っ張ってフックにかけるのは大変です。  ペンチで摘み引っ張ったり、針金で工夫したり、お風呂に入れたりと 、、、、

そのバンドがBMW純正品ならそんな苦労はいりません。  両端のピンが中空になっているので適当な六角棒レンチなどを差込めば力が入りやすく安全で簡単にフックにかける事ができます。

これでもう血を見ることもありません。 残念なことに現在入手できる 旧タイプ用には採用されていないようです。


[ゴールドスター1センチに泣く]
★ツェナーダイオードの悪戯
あるとき、東北道で奇麗にモデファイされたBSAゴールドスター500
(往年のモデルでなくビクター系)を軽トラックで追走していた時のお話し

高速に乗って気持ち良く飛ばしていたBSA号、30分ほど経った時、突然エンスト。  路肩に停めてフューズを見たり、バッテリーを見たり、イグニッションスイッチの接触を調べたり、万事窮す。 幸い空荷の軽トラックだったので路肩で積み込み帰路へ

原因はボルテージレギュレターとして使われているツェナーダイオード (英車に多い)横の配線が高温で被覆が溶けショートしてフューズがとんだためでした。  一般道だけ走っていれば多分5年でも10年でも問題無く走っていたのでしょうが電圧がガンガン上がり余剰電流がダイオードに流れる高速道では30分が限度でした。  このBSA号はハーネスも特別に製作されたものでほんの数センチだけケーブルが長く作られていました。 この数センチがトラブルに繋がりました。

交通量の少ない山間部や夜間に起こっていたなら、さぞや後年、よい思い出話しになっていたことでしょう。

この話しをトラのオーナーにしたところ、配線被覆が溶けていてショート 寸前だったと後日報告がありました。 整流器、抵抗器まわりには注意を


[そこは違うの]
★速度計の指針振れ
スピードメーターの指針が振れて実速度が判らないことがあります。

振幅の中央を見れば速度が判るので問題ないと言う古強者もおりますが、、、、、、

ケーブルの劣化で内部に錆が発生した場合に内部抵抗が増大しインナーケーブルの回転ムラが起こり針ぶれが発生します。 この場合には ケーブル交換で改善されます。

このケーブルは他のコントロールケーブルと違い、トランスミッション出力軸の回転を速度計まで伝えていますので取回しに無理がある場合には回転ムラが起こります。  緩やかにカーブするように取回しを工夫してください。

ヘッドライトハウジングはメーター下部のケーブル接続部とハウジングホールの位置がどういう訳かずれていてケーブルに無理がかかります。  このケーブル用の穴にメインハーネスが通っているとケーブルの曲がりがよりきつくなりインナーケーブル切れ、針振れを起します。  メインハーネスは隣の小さい穴に通すのですが難しく、ケーブル用のこのおおきな穴に入れたくなります。  ハーネスを正規の穴に入替えるかケーブル用のラバーグロメットを外してしまえば改善されます。

残念ながら旧タイプツインに相性の悪いケーブルも流通しているようです。


[BINGと対決]
★対策ガスケット
ガソリン洩れの対策としてパッキンメーカーの協力を得て、テフロン樹脂でキャブレター下部のガスケット3点を製作しました。  この部分は純正のガスケットに交換しても改善しない場合が多くシールテープを巻いたり液体シーリングを試したりしているものも多く見うけますが結果はあまりよくありません。  お悩みの方は是非いちどお試しください。 密着性が高く数回使用できます。


[いたわりの2発]
★始動前の空キック
ベテランライダーのエンジン始動の手順を見ているとまるで儀式のように一分の隙もありません。 ・・・・・ 燃料コックをオンに、リアステップに右足を載せ空キック2発、 イグニッションをオン、キックペダルを降し足応えのある上死点前に、ひと呼吸こらえ圧縮を抜き、キックペダルを戻してイグニッションオン、自信満々のキックで一発始動 ・・・・・

当時の取扱説明書には始動前に2回の空キックを推奨しています。

何故か? クリメカ的解釈ではレシプロエンジンの心臓部であるピストンとシリンダーが油膜切れを起し焼付き・抱き付きに繋がるカジリを防止するためです。  オイルポンプはエンジン始動ではじめて稼動するものなので始動時には残留オイルによる潤滑に頼らなくてはなりません。  特に冬期低温時はオイルの流動性や潤滑能力が著しく低下しているので不注意なエンジン始動の潤滑不足からトラブルを誘発し、 エンジンの耐久性・性能低下を引き起こします。

始動前に数回キックすることでオイルポンプが作動してシリンダー壁の オリフィスからオイルが吐出され、ピストン・シリンダーを潤滑してトラブルを未然に防ぎます。

旧タイプツインの初期タイプはシリンダー右側のオリフィスが省略されていますので外気温の低い冬期には留意が必要です。  長期保管車(おおむね3ヶ月以上)のエンジン始動にはプラグホールからエンジンオイルを少量注入するぐらいの心掛けが必要でしょう。

イグニッションOFFの空キックをすることで混合ガスが燃焼室内に入るのでスイッチON後はキック一発で始動します。


[ハンドル振れ]
★タイヤ空気圧との関係

(kg/cm2) R26・27 R50・60 R50S・69S
フロント 1.5 1.4 1.4-1.7
リア 1.6-2.0 1.7-2.3 1.7-2.3

リアの空気圧は 1名乗車時 <−> 2名装備状態
高速巡航時と理解ください。 上記リストの数値は
BMW発行のテクニカルデータから抜粋しました。

国産車メカとしての経験では、オンロードタイヤのフロント空気圧は1.8がスタンダードで前後とも2.0にしておけばチョイ乗りから高速道までオールラウンドに対応できると理解していました。

あるとき、R26を試乗した時にハンドルのふらつきが気になり各部の点検調整でもあまり改善されませんでした。  フロントを1.5に調整するとウソのように安定して驚いたことがあります。 タイヤ銘柄でハンドリングは大きく変化します。  もちろんタイヤの摩耗・偏摩耗、アライメントの狂い、ホイールバランス、縦・横振れ、 ベアリングのガタなどハンドル振れの要素はいくらでもありますが心当たりを点検調整しても改善しない場合は空気圧を上記リストの範囲内で調整して様子を見ては如何ですか?

空気圧が低いとタイヤ摩耗を早めます。 また燃費の低下やくぎなどが刺さりやすくなるのでパンクの危険性が増えます。  ハンドリングに不満がある場合はタイヤ銘柄を変えてみるのも一案です。

R50S・R69Sの場合はスポーツタイプなので空気圧は高め(1.7+)がよいと思われます。  ハンドル振れの傾向がある場合には徐々に空気圧を下げていき指定空気圧範囲内で安定する圧力を探し調整します。  上記リストの記載データ 1.4−1.7 はクリメカではこのように解釈しています。


[クリメカ叱られる]
★エアスクリューからの燃料洩れ
お客様に旧タイプに30分ほど試乗してもらって停車してしばらくするとキャブレターからポタッ、ポタッとガソリンが ・・・・・・・・ 
くだんのお客様は”整備不良ではないか”と 旧タイプではよくあることと申し上げたところ怒り爆発罵詈雑言

旧タイプと出会ってからポタッポタッは致し方ないことと原因を深くは追求をしてきませんでした。  この事件以来あらためて考えると少量にしろ燃料が垂れるということは愉快なことではないと思い心してBINGと対決することにしました。  以下、中間レポート第一弾です。

キャブフロート室とシリンダーフィンは隣接していてその距離15ミリプラス、走行後停車してコックOFF、燃料はフロート室内に適正油面の状態で溜まっています。  エンジンの余熱がシリンダーフィンからキャブレターに伝わり燃料温度が急激に上がります。  走行中なら流入燃料でキャブボディーが冷却されるので温度は一定で保たれますがコックOFFでは燃料温度は上昇一方です。  気化が促進されフロート室内の圧力が上がり燃料は圧力の低いところに逃げ出します。 すなわちフロート室の内壁をさかのぼりトップカバーの接合面へ、 多くはエアスクリューの外気導入ホールから右のブレーキペダルの上へ、左はシフトラバーの上へ ゴムがふやけ溶けいつのまにかに Bye−Bye

このお漏らしはエンジン停止直後には決して起こらず余熱がキャブに伝わる30秒から1分たってから発生します。  フロート室内の圧力が下がり、キャブレターボディーの温度が下がれば止まります。

ガレージが汚れる、臭い、アスファルトが溶ける、座敷にシミができる(?)などでお困りの方は停車する数百メートル手前でコックをOFFにしたり、 停車後コックをOFFにしてからも整理体操よろしく数分クールダウンを行いフロート室内の燃料を減らし、お漏らしを防ぎます。

  ベテランの方々はそれぞれの方法で対処しているようです。


[提灯の穴は下向きに]
★R26・27のエアクリーナーホース
R26・27用のキャブジョイントホースには3ミリほどの穴が開いています。 オーナーのなかには製造上できてしまった不用のものと考え接着剤で塞いでいる方も、

また深く考えないで適当な位置で組付けている方も何らかの理由でキャブレターのフロートバルブが閉まらずオーバーフローを起したら、 悪いことにコックが開いたままだったら、ガソリンはベンチュリーを通って低いところへ流れていきます。 R26・27ならエアークリーナーケースへ溜まってしまいます。  気付かずエンジン始動しようとバックファイアー(戻り火)が起こってしまったら ・・・・・・・・・・・・ 考えたくない結末が待っています。  クリーナーケース下部にドリルで穴を開けている人もいますが、 提灯型ラバージョイントの穴を下にしておけばどこかにガソリンが溜まることはありませんので最悪な事態は回避されます。

異物の引っ掛かりやフロートのパンクでオーバーフローすることが希に(頻繁に?)起こります。 停車中のコックはOFFにする習慣をつけましょう。
オートバイは可燃物です。


[目指すは上り坂!]
★中低速のキャブセッティング

モデル キャブ型式 左  右 メインジェット番手 (参考初期型)
R50 1/24/149−150 #120 (#105)
R60 1/24/151−152 #125 (#105)
R69S 1/26/ 91− 92 #130 (#135)

現在購入できる新品キャブは最終モデル用のセッティングになっています。
すなわちR69Sタイプの大型エアクリーナーに対応しています。  もしあなたの愛車に小型のクリーナーケースが付いていれば適正なメインジェットやニードルポジションを選択しなければならないでしょう。  メインジェットの選定は一般道では困難です。見通しの良い舗装路で通行量が少なく、 間違ってもねずみ取りなどやっていないところがあれば別ですが安全のため高速道で手順を踏んで選択したほうが良いでしょう。

低中速の調整はエアスクリューとニードルポジションに依存します。  クリメカのテストコースはショートで1周3km、ロングで10km足らずですが起伏がなくエンジンに負荷がかからないので、ニードルの位置を決めるのに細心の注意を要します。  いちばん確実な方法は上り坂で行う方法です。 坂への進入速度を決めておいて各ポジションでの力の出方を観測していちばんスムーズで力の出る所を探します。  純正キャブの調整可能範囲は通常メインジェットとジェットニードルしかありませんのでいろいろな組み合せで試してください。 あなたの愛車が生まれ変わるかもしれません。

★R69Sメインジェット変更の理由 − クリメカ的解釈

R50・60のメインジェットがマイナーチェンジのたびに大きくなっていった反面、R69S用は小さくなってしまったので不思議に思われる方が多くいます。  これは何かの間違いと決め込み#140を装着している方もおります。 実は新キャブを導入した際にはクリーナーエレメントも変更されています。  時代背景でより濾過性能が高いもの、より低騒音なものへとシフトされていて吸気抵抗が増えていた可能性があります。  また最終減速比が変り(3.13−>3.38)ローギア化されためにエンジンの発熱量が下がっています。 当然、要求される燃料も少なくなりメインジェットが小さくなります。  キャブレターを交換した場合はこの件を考慮してください。
 


[プラグの熱価は?]
★NGKとの対応表(クリメカ調べ)

BOSCH旧品番 BOSCH現行品番 NGK相当品
ショートリーチタイプ
W225T1 W7AC B6HS
W240T1 W5AC B7HS
W260T1 W3AC B8HS
W7BC BP6HS
W5BC BP7HS
W3BC BP8HS

ロングリーチタイプ
W240T2 W5CC B7ES
W260T2 W3CC B8ES
W5DC BP7ES
W5DC BP8ES

注意:熱価特性はメーカーによって違いがありますので銘柄を変える場合はテストランで焼け具合を確認してから選択ください。


[オイル潤滑経路]
シリンダーヘッド編

ギア式オイルポンプでオイルパンから吸い上げられたオイルはクランクシャフト両端のベアリングを潤滑し余剰分はスリンガーへ流れ込みコンロッドのビッグエンドへ (シングルモデルのスリンガーは前端のみ)クランクの回転で飛沫オイルはオイルミストとなりクランクケース内の各部へ行き渡ります。  シリンダーヘッドへの潤滑はエンジン形状の違いでツインとシングルで変わってきます。

★R25/0〜R26
オイルはシリンダーフランジ部のオリフィスよりシリンダー部圧入オイルパイプ上方へ圧送されヘッド部ブッシュ内を通りロッカーアームシャフト、 バルブステムへ余剰オイルはプッシュロッドチューブを下りタペットを潤滑しオイルパンへ戻る。

★R27
上記のほかに別経路でシリンダー中央部のオリフィスからピストンへ潤滑 冷間始動時と高速巡航などの高負荷時に対応

★R51/3ーR69 (R50初期も)
左シリンダーのオリフィスよりピストンへ給油 (R27と同じ対応 右シリンダーはクランクからの飛沫で充分にピストン内に給油されるので不要) クランクピンより吹き出たオイル飛沫が遠心力によりカムシャフト、タペットへプッシュロッドチューブを伝いヘッドのバルブに給油 余剰オイルはドレンホール、 シリンダー部圧入オイルパイプを通りオイルパンへ戻る

★R50ー69S
右側シリンダーフランジにオイル通路が新設され左右それぞれのシリンダーへオイルを供給


[オイルフィルター新設計画]
★挫折する
旧タイプにオイルフィルターは付いていません。 BMWに限らず60年代のオートバイには装着されていないものが多くあります。  回転するクランクシャフトベアリングに潤滑するのにBMWではスリンガープレートと呼ばれる部品を介して行われます。  スリングとは遠心投石機のことで原始人が使っていた石に紐を付けぐるぐる廻し、手を離して遠くにいる動物(敵も?)を仕留める武器です。  クランク回転の遠心力で油圧を上げコンロッドの根元(ビッグエンド)へオイルを供給します。  現在でも血清や分析をするのに遠心分離器を使いますがこのスリンガーも遠心力のためオイルに混入している金属粉、酸化物、 スラッジなどの異物が分離され沈殿物としてスリンガー外周に付着堆積します。 上澄みオイルが潤滑するのでよいことなのですがメンテナンスのよい車両で75,000km、 粗悪オイル使用やオイル長期無交換の車両では30,000kmでスリンガー内が堆積物でいっぱいになってしまいます。  そうなると不純物の多いオイルが各部に廻ってしまします。 まめにオイル交換をしていれば問題は起こりませんが心配の種である事に違いはありません。

そこでエンジン外部またはオイルパン内に高性能ペーパーフィルターを新設しようとあれこれと思案しました。  現に5シリーズ以降のモデルやモトグッチ用にカートリッジタイプのフィルターを装着するキットが社外品で出回っていたので旧タイプでもと現実味を持ったわけです。

情報収集の過程でギア式オイルポンプではペーパーフィルターを通すだけの油圧が上がらないことが判明しました。  つまりフィルターのためオイルが滞留して焼付きの原因になってしまうことになります。 そんな訳であっけなくこの計画を断念しました。

ホンダの場合、CB450、CB72まではベアリング支持のクランクを採用しておりCB750/250からプレーンメタルのクランクを採用しています。  プレーンメタルは油質・油圧管理が最重要でペーパーフィルターと高性能トロコイド式オイルポンプが不可欠でした。  スズキは4サイクル後発組で生産管理ノウハウがなかったので2サイクルで実績のあったベアリング方式(ホンダ、ヤマハから見れば旧式)をGS750/400で採用していました。  このおかげでポップ吉村のフルチューンでも耐える事ができました。 結果的にスズキの評価が上がり4サイクル路線が確立していったのはなにか皮肉な感じがします。  次期モデルGSX750/400からプレーンメタル式を採用しています。


[出っ張りすぎはイヤ?]
★セーフティースパークギャップ
ハイテンションコードが劣化して硬くなると柔軟性がなくなり断線の傾向が出てきます。 断線しても高電圧なために導通してそれなりに走っちゃったりします。  ただ低回転で失火したり(アイドリング不調)コイルに負担をかけコイルがパンクしたりといいことはなにもありません。
ハイテンションコードを交換する際によくある失敗例でコイルの端子にコードを固定するため被覆を剥きハンダ付けするのですが端子を大きく突き抜け固定してしまい、 かえってエンジン不調の原因を作ってしまいます。 イグニッションコイルは精密部品でパンクしないよう意図的にリークする設計になっています。  マニュアルではコイル端子からマグネトーベースに設けられた突起端子まで10〜11mmと定めています。  コードの芯線が端子から大きく出ていると設定以下のギャップになってしまいアイドル不調やスロットルオンで負荷をかけた時にリークしてしまいます。

  巻き直しのコイルのなかにはこの端子の位置が左右大きくずれているものもあります。 気になる方はいちどオカメを開けて点検してください。  ショートを起しますのでまずバッテリーのマイナス端子を外してから安全に作業してください。


[ゴムブーツの活躍]
★防水以外の目的
キャブレター上部のケーブルにはラバーキャップが被せてあります。 もちろん悪天候時に雨がここから侵入しないようになっているのですがそれだけではありません。  ラバーキャップはケーブルアウターとキャブレターを固定して離れないようにしています。  キャブレターは経年変化で熱変形を起しやすく全開にするほど戻り難くなる傾向があります。  ラバーキャップがなかったり劣化しているとケーブルアウターがアジャストボルトに乗っかって吹け上がってしまいます。 グリップ側のブーツも必要不可欠です。  けっして高価なものではないので二年ごとの交換をお勧めします。


[あなたの体重は?]
★ドイツ人と日本人
小柄な日本人から見ればドイツ人はでかいでかい、長野オリンピックでは小さな清水選手に大きなオランダ選手、凸凹コンビもいいとこです。  もちろんオランダは独立国でドイツではありませんが自国語で自分たちのことをダッチといいます。  ダッチTTとかフライングダッチ(さまよえるオランダ船)などなどダッチロールもそうでしょうか、ドイツのことをドイツ語で DEUTSCH(ドイチュ)と呼びダッチはDUTCHでどうみても同じ語源です。 言語学的にも人類学的にももちろん隣国なので地理的にもほとんど同じです。
 
さて本題です。 車検証をよくご覧になったことはありますか? 車両重量とは新規車検を受けた時、実際にスケールの上に車両を載せて計量した重量が記載されています。  車両重量に乗車定員分を加算したものが車両総重量といいます。 定員1名ならプラス55kg、2名ならプラス 110kgになっているはずです。 日本では計算上、1名あたり55kgとしていますがドイツでは75kgとしています。

W・シートやサドルダンパーの固さを考えれば納得できます。

新品デュアルシート(デンフェルト DENFELD)は非常に固く、1年経ってもお尻に馴染みません。  シート裏にあるテンションスプリングの中央2本を抜けばとても具合が良くなるとのこと。 ベテランライダーから伺った知恵です。 いちどお試しあれ!


[ひょこんでエンコ]
★クラッチはりつき
気候も暖かくなったので久しぶりに愛車を引っ張り出して近辺をひとまわりしようと、、、、 エンジンもすぐかかり幸先よし、ゴーグルつけてメットをかぶりサア出発、 クラッチ握りシフトをローへ あれっ? ニュートラルに戻し、もう一度キックで始動 シフトを降ろすと あれあれっ 冷や汗たら〜り

クラッチの張付きはスーパーカブからBMWまでどんなバイクにも起こりえます。 一般的に長期間稼動してなかった車両に多くみられ、 BMWに関しては原因は二通りあります。 ミッションオイルがクラッチに廻っていてエンジンの発熱で粘度が増し、 膠(にかわ)状態になり長期保管中に接着剤で貼り付けたようになります。 この場合はオイルが原因なので温度が上げれば剥がれます。  エンジンは始動できるのでアイドリング状態で10〜15分でも暖機して後ブレーキを踏みローギアに入れればOKです。

もう一つの原因はオ−バ−ホ−ルなどでクラッチ関係3点が新品になった場合に起こります。  クラッチ滑りの原因になるのでプレッシャープレートやプレッシャーリングの汚れ、油分を除去してから組付けます。  100kmでも走行すれば摩擦のため錆は発生し難いのですがそのまま保管していると湿度も手伝ってか錆が発生します。  この錆が不思議なことに接着力が強く、張り付きます。 このケースの場合、症状が重いと厄介でトランスミッションを降ろして再度オ−バ−ホ−ルしなければなりません。

どちらのケースでも無理して剥がそうとするとクラッチを壊したり、ギアやダンパーをだめにしてかえって大きな出費を強いられます。

トランスミッションオイルがクラッチ盤に廻っているとエンジン温度の上昇で高負荷時にすべりだします。 多くの場合、ギアボックス入力シールから滲み出しています。  症状が進むとギアボックス下部のオイル受けにオイルが溜まります。


[ヘッドライトのチェック]
★旧タイプ車検のポイント
ユーザー車検を受けている方々からライトテストがすんなり通らないとの 報告がよくあります。 下記を参考にチャレンジして下さい。

★ 反射鏡が良品であること 錆び、くすみ、変色、変形がないこと
★ レンズが左右対称か左側通行用であること
★ レンズが清掃されていること 内外とも良く磨く
★ レギュレターが調整されていること 充電電圧7.2〜7.4V
★ バッテリーが充分充電されていること
★ ハーネスが劣化していないこと 10〜15年で寿命です
★ およそ4,000rpmに回転を上げてテストを受けること
★ 事前に光軸を調整すること

上記をクリアーすればノーマル6V35WバルブでもOKになるようです。

レギュレターの調整が悪いと充電電圧(7.4V近辺)が上がらず、ライト 照度が合格ラインに達しません。 もちろんバッテリーが劣化していても同様です。 45W球や35Wハロゲン球なら問題なくクリアーされます。

配線が劣化すると内部抵抗が増え、電圧降下のため照度が上がらないことがあります。  業者のなかにはコストをかけず検査を通すため、バッテリーから直接配線をだし市販のトグルスイッチを新設して受検しているところもあります。  効果はあるようですがイグニッションスイッチと連動していなかったり、別途にスイッチを設置するので外観と操作性の問題で受検合格のための一時的なものでしょう。

レンズカットにより集光性の悪いレンズもあるようです。

反射鏡・レンズが傷んでいるようならユニットごとH4ハロゲンに替えるのも 一案です。 もしレンズ・リフレクターの2点が良品なら当店で扱っているノーマルバルブソケット用(BA20D)のハロゲン球(6V35/35W) に交換すれば消費電力は同じでも照度は確実にあがります。

当店でも6V60/55WH4バルブを扱っていますが信号待ちなどではまめに消灯・スモールにしないと消費電力が多いのでバッテリーが上がりやすいようです。  もちろんベテランの方々は身についている動作ですが ・・・・ 現行国産車から乗り換えた方はなかなか身につかないようです。

シングルモデルはバッテリー点火なので大容量のバルブに換えるとバッテリーが上がりエンジン不動に陥ります。 ご注意を!


[方程式?]
★最高速度を求めると

             エンジン回転数(rpm) X 60 X タイヤ外径(mm)
速度km/h(V)=−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
            1次減速(ギアボックス) X 2次減速(デフ) X 1,000

旧タイプツインで考えるとモデル年式による違いはデフ(ファイナルギア)と リアタイヤサイズになります。 R69Sで計算すると下記のようになります。

エンジン回転を最高出力発生の7,200rpm(R69S)としての速度

3.13(25/8)デフでリアタイヤ3.50−18    172km/h
3.13(25/8)デフでリアタイヤ4.00−18    181km/h
最終モデルなら
3.37(27/8)デフでリアタイヤ4.00−18    168km/h

この計算式によると一時期いわれていた最高速180km/h以上というのは7,200rpm以上回した場合か、リアタイヤを4.00−18に換装した 場合である事が判ります。 (多くのカタログでは伏せ姿勢で175km/h となっています。 参考までR75/5も175km/hです。) 

あくまでも計算上のことです。


[ストップランプはイエロー?]
★エバーと路面電車の共通点
R51/3など旧々タイプやR69など旧タイプの初期モデルには本来小型エバー型のテールランプが付いていました。  このランプは不思議なものでストップが黄色でテールが赤色で通常のものと逆です。 安全基準に合致しないため車検も通りません。

日本でも最近、環境にやさしい路面電車が見直されてきて新規に開通させようとする運動もあるようです。  ヨーロッパでは昔、輸送に馬車を利用していましたが街中では石畳を引きつめていた関係で荷物ならいざ知らず快適性を求められる旅客輸送には向いていませんでした。  そこでおおきな街には道路にレールを埋め込み旅客馬車が走り出しました。 電車が出現してからは同じレールの上を走るようになっていきました。  自動車と違って勝手に右折や左折ができないのでウインカーはありません。 制動灯は目立つ黄色で尾灯は赤色でした。  ドイツではこのレイアウトは現在でも変わっていません。 つまりウインカーが誕生するまでは制動灯は黄色だったと推測されます。  またBMWの古いもの(R51/2あたりまでか)には制動灯が付いていませんでした。 (もっとも国産車、メグロのS3だったか、 でも乾電池式のテールで夜間だけ隠しスイッチいれテールランプにしているものを見た事があります。 当然、制動灯なんてものは付いていませんでした。)  交通量の少ない古き良き時代だったのでしょう。 (本当は貧弱な電装のためでしたが、まあアセチレンのヘッドライトよりは幾分ましでしょうけれど)

スプレーでストップレンズを赤くペイントすれば車検もOKです。


[ネジロックの効用]
★緩みやすいイモネジ端子
電装カバー”オカメ”やヘッドライトユニット、テールライトユニットを外す時、よく配線止めのイモネジが落ちていることがよくあります。  イグニッションプレートやダイナモの端子が緩むとエンジン停止に陥ったり、ショートを起し配線被覆が燃えたり面白くないことが起こります。  このイモネジタイプは構造上は堅牢ですが緩みに対しては甘さが残ります。 いくら車載工具を揃えていても配線が燃えてはお手上げです。  市販の緩み防止剤(ロックタイトやネジロックなど)を使用して不意のトラブルを防ぎましょう。 強力タイプを塗ってしまうと取り外しができなくなりますので中程度以下のものを選んでください。


[保守点検プラン]
★R50−69Sの場合
当時のオーナー向け取扱説明書の翻訳

★3,000kmごと
1 エンジンオイル交換 Sモデルはマグネットドレンボルト清掃
2 前後スイングアームピボット給油 グリスガン使用
3 ブレーキ/クラッチレバー、ケーブル・ロッド連結部の給油
リアフェンダーヒンジ部の給油
4 バッテリー比重・液面点検

★12,000kmごと
1 定期的給油
2 ギアボックスオイル量の点検
3 ファイナルギアオイル量の点検
4 シャフトオイル量の点検
5 エアフィルターの点検清掃
6 ステアリング・ホイールベアリング・スイングアームピボット遊び作動の確認
7 各部ボルトナット類の締付け点検、特にアクスルシャフトとクランプボルト、
サスペンション固定ボルト、ギアボックス連結部、シリンダーベース  
アクスルナットはメガネかソケットレンチを使用し延長棒は禁止
8 コントロールケーブルの遊びと作動確認、調整
スロットルギア部のグリスアップ
9 点火プラグの点検 ギャップ0.7mm
10 ポイントギャップ 0.35〜0.40mm ガバナーブッシュとカム部のフェルトに
ボッシュグリスFt1V4を給油、フェルトがカムに接触するように調整
11 点火時期の調整
12 キャブ、燃料コックスクリーンの清掃
13 冷間時にシリンダーヘッドボルトの締付けトルク確認 3.5mkp
14 バルブクリアランス調整 吸気 0.15mm  排気 0.2mm
15 テストラン タイヤ、空気圧、ブレーキ、ステアリング、灯火類点検 
アイドルエアスクリュー調整

★24,000kmごと
12,000kmごとの項目に加えて
1 エンジンオイル交換 オイルパンを外してパン内部とスクリーン清掃
2 ギアオイル交換
3 ファイナルギアオイル、シャフトオイル交換
4 ホイールベアリングのオ−バ−ホ−ル
5 スポーク張力、芯出し アルミリムの場合は12,000kmごとに点検
6 Sモデルのみホイールバランス
7 ブレーキオ−バ−ホ−ル ドラム、シュー、ライニング、ブレーキカム、
リンク類の点検保守
8 エアフィルター交換 ペーパータイプの場合
9 ダイナモ部カーボンブラシのダスト清掃、ブラシ当たり面点検 
作動確認 ホコリの多い環境の場合は12,000kmごとに保守点検


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